出版のための原稿を書く際、研究の全体像を偏りなく説明するために盛り込むべき重要な情報はいくつもあります。そのうち最も重要でありながら過小評価されることが多いものの中に、研究の限界があります。多くの研究者にとって、自分の研究の限界について書くのは困難であるか、ひとつとして書きたくはないという場合が多いのです。しかし研究に関する正確な背景情報を示し、読者が結果の重要性と影響を適切に評価できるよう十分な情報を提供するためには、研究の限界の記載は必須です。となると、あなたの研究結果の重要性を損なうことなく限界を説明するための最良の方法は何なのでしょう? まずはありうる限界の種類を見て、方法論的に戦略を立てていきましょう。

限界の種類

あなたが検証してみたいことや、取り組む中で得られるであろう結果には何らかの限界があるかもしれないことには、研究を始める前から気がつくかもしれません。利用可能な手法や研究対象集団にまつわる一定の制約は、最終的にどのような結果を得られるかに影響する可能性があります。これらは研究デザインの限界と呼べるでしょう。

考慮すべきもう一種類の限界は、影響の限界と呼ばれるものです。研究が強力な研究デザインと優れた統計データを備えていても、一部地域や特定集団に焦点を絞りすぎている、あるいは漸進的発見にしか寄与しない領域であるなどの要因によって影響が限定的なものにとどまる可能性があります。

最後に、統計またはデータの制限があります。時によっては、期待したほどの量や質のデータが集まらないこともあるかもしれません。あるいは予想よりも組み入れが難しく、結果の検出力不足につながるかもしれません。研究デザインが統計的限界の原因となり、結果の解釈に大きな影響を及ぼすこともあります。

この3種類の限界は互いに結びついていることが多いですが、論文に記載する必要がある限界を特定するためには、漏れがないようにこれら3種の限界を個別に分析することが役立ちます。

限界をどう記述するか

あなたの研究に起こりうる限界を特定する方法がわかったので、ここから問うべきは論文中で限界を記述する方法です。多くの著者が研究の限界について書くのを嫌う理由は、自分の研究の説得力を損ね、他人が見過ごしたかもしれない欠陥を指摘していると感じるためだということが私たちの経験から分かっています。そう感じることは無力感につながりますが、誰しも科学には限界がつきものだとわかっており、結局はそれを見つけ出そうとしているのですから、限界を直視するべきです。読者がすると思われる否定的な解釈に対しては、それぞれの限界について説明し、限界はあっても研究結果は重要だと示すことで反論できます。

: あなたの研究は、日本人患者を対象とした糖尿病の新しい治療法の有効性の検証でした。結果は非常に肯定的なものでしたが、調査対象が日本の患者だけなので、人種の違う患者には当てはまらない可能性があります。このことについては論文内の研究の限界セクションで言及し、それに続いて、世界各地で患者ごとに最適化された治療を施すのに役立つことを理由に挙げ、いかに研究結果が広範に適用できるかについてコメントするということもできます。

際立って斬新な結果が得られた場合、あるいは研究が進んでいない分野の論文を発表する場合は、限界のある研究結果を支持するために結果の斬新さを強調するという手が使えます。新しい地平を開拓する時には、知識ベースに埋めるべきギャップが多く存在する可能性があります。したがってこの種の限界をフォローするには、エビデンス全体をより強固にするための次のステップは何かということを研究結果に基づいて記述するのがよいでしょう。

さて、あなたの研究には、研究結果の信頼性を損なう致命的な欠陥(通常は研究デザインに基づくものです)があるかもしれません。この場合、欠陥はおそらく他者が見ても明らかなので、このエラーまたは欠陥が発生した理由を説明するのが最善の手です。欠陥を承知で公開するのであれば、研究を繰り返す意義について、あるいは同じ現象をどう再検証するつもりかについての説明をすることもできますが、出版の目標を下げる必要に迫られる可能性は高いでしょう。

期待を制限する

科学が最初から完全ではないことは誰もが承知で、他の研究者が非常に批判的である一方、限界のない研究などないのです。私たちの知識ベースは、パズルの各ピースを一度にひとつずつ明らかにすることで組み立てられるもので、研究の限界はどこでやり方を改めるべきなのかを教えてくれるものです。ちょうど査読のように、限界を本質的に悪いものとは捉えず、新たなチャレンジの機会が増えたと考えましょう。最終的には、あなたの限界が他の誰かのインスピレーションにつながるのかもしれないのですから。